今から20年ほど前、私たちは、高畠町で一年半、高畠町有機農業研究会の営みを撮影し、
10時間を越える映画フィルムに記録しました。
そのフィルムには農民の自立を目指した高畠の有機農業の原点が記録されています。


― 堆肥など、自前の生産手段を自給しての営農。
― 消費者との提携による農産物の直接販売。
― 援農による都市と農村の交流。
― 農薬の空中散布阻止運動と有機農業の地域への普及、など。


残念ながらそれらの映像は未編集のまま今日に至っていました。

この高畠の有機農業を記録した貴重なフィルムを埋没させたくない。
そうした想いから2005年3月、撮影を再開しました。

20年前と現在の高畠をつなぎながら、有機農業に人生を賭けた農民たちの生き方を描き、
農の心を都会に暮らす人たちに伝える映画を創りました。

 




都会に暮らす人々の多くが「食」の本当の意味を見失っています。
安さや見栄えばかりに心が奪われ、工業生産と同じように、経済効率を農産業にも求める
都市の消費者たち―。飽食の時代にあって、食べものが人間のいのちを根底から支える
かけがえのない賜りもの
ということすら忘れてしまったかのように思えます。


農業は人間のいのちを根底から支えるかけがえのない生業―


このことを今、高畠の映画を創って日本中の人々に伝えたいと願いました。

高畠で知り合った農民たちは「農業はいのちを支える仕事」という誇りをもって作物を育てています。
自らの知恵と技術を総動員して、毎日、田畑で作物と対話しながら、納得の出来る農業にこだわって
作物を育てています。その主体的な農民たちの営農から「いのちを育む農の心」が見えてきます。

「農の心」に共感を抱けるような映画の製作、それはすなわち農村から都市へ向けての
文化の発信と云えましょう。

 



高畠には毎年、大勢の人が都会から農業体験に訪れます。その機会に受け入れ農家は
農業について熱心に伝えています。そこにひとりでも多くの人に農業の大切さを知ってもらいたい
との農民の願いがあります。一方、農民の話に耳を傾ける都会人は、今まで知らなかった
農民の想いに新鮮な感動を覚えます。


この都市住民と農民とのコミュニケーションに注目しました。作物を育てるためにどのような工夫を
凝らしているのか、どのような想いを込めて農業に打ち込んでいるのか、など、
農民たちは、都会人との温かみのある対話の中で語ります。そこから高畠の農民たちの想いが
素直に伝わります。


農民が都会の人たちに語る数々の想いから「農の心」を浮き彫りにする映画―


それはまさしく農村から都市へのメッセージ

さらに高畠には大勢の人が都会から移り住んでいます。

都市住民が農村に生きる価値を見出し、住み慣れた都会を捨てて高畠に移り住んでいる。
その背景に30年を越える有機農業の営みがあります。有機農業を通じて都会の消費者との交流が
頻繁に行われてきたことが、都市の人間を快く受け入れる素地を培ってきたのです。

高畠の農民たちが帰農した元都会人たちをどのように見守り、彼らの農業を支えているのかを伝え、
開かれた農村の息吹を伝えます。
 

「農」の大切さを多くの都市生活者に伝えたいと願って、この映画は完成しました。
共鳴してくださる方々かのお力を貸していただいて、上映運動の輪を広げてまいりたいと願っております。